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たかが蜘蛛、されど蜘蛛

ペットは飼っていないが、ペットのような存在の生き物がいる。
夏の初めの朝、玄関のドアを開けてすぐのところに、一晩で大きな蜘蛛の巣ができていた。直径数十センチの大きなものだった。家の前にこんなに大きな蜘蛛の巣があっては、無人の家みたいなので、即刻その巣を取り払った。ところが、夕方になるとまた同じくらいのサイズの巣ができていたので、また取り払った。夜にもう1回チェックすると、彼女がいた。(さすがに名前は付けていない。) でかい。巣も大きいが、およそ都会のマンションにふさわしくないビッグサイズの蜘蛛だった。特にお腹がふくらんでいて、銀杏の実ほどもある。肥満か妊娠中か。気持ち悪いけど、怖いのでそのままにして朝まで待った。その晩、ネットで調べましたとも。けれども、朝蜘蛛は縁起が良くて、夕蜘蛛は縁起が悪い、ということ以上の事は分からなかった。

翌朝、彼女は消えていた。巣を見ると、小さな虫が10匹くらい捕まっている。名前も無いような小さな虫だけど、夏になるとベランダや網戸の隙間から入ってきて私を悩ませる小さな虫たちだ。玄関の外には街灯があって、それに引き寄せられた虫たちが蜘蛛の巣にまんまと引っかかったわけだ。

その後、家の床を小さい蜘蛛がヨチヨチ歩いているのを見つけた時は、さては彼女が産んだか、と一瞬ひやりとした。いつだったかカマキリの卵から100匹の子カマキリがぞろぞろ行進しながら出てきたのを思い出したのだ。どうする?私?

考えた末、虫を捕まえてもらう代わりに巣は無罪放免の沙汰を下し、ギブ&テイクの関係は今も続いている。おしりから糸をスーっと出して意外な速さで巣を作るところも見せてもらった。彼女は、昼間は鉄柱の隙間に隠れている。夏の終わりの今頃になってようやく隠れ家が分かった。

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